供託金没収点を超えた場合、公費(税金)によって支出される選挙ポスターの作成費について、現行の制度は上限額を定めることで「作成費の高騰をおさえている」という。しかしながら、4月10日執行の福岡市議選では同じ選挙区で、最低と最高の作成費の差が約80万円というケースが見られた。
一方、ある印刷業者(匿名希望)は、選挙ポスターと同じ規格(A3・4色カラー)を作った場合、おおまかな見積もりで15万円でも作れるという。そもそもこの"上限額"が高騰した値段と思われても仕方がない。
安く作ろうと思えば作れるのだ。そして、実費と法で定められた満額の差が、いわゆる水増しの請求部分となり、パンフレットやビラといった他の印刷物の費用や候補者へのキックバックという"不正"に利用される。また、財政健全化を訴える一方で選挙ポスターという公費支出には無関心という姿勢には疑問を感じざるを得ない。
選挙ポスターの作成費が、最もムダだと思えるのは無投票になった場合だ。4月10日執行の福岡県議選では13選挙区20名が無投票で当選した。この各当選者の選挙ポスター作成費も公費で負担される。仮にその全員が公費負担分を満額で契約していたとすれば、おおまかなところで総額は2,000万円近くにのぼる。
しかし一方で、この上限額を"適正"に引き下げることはかなり難しい。デザイン料と撮影料を含む企画費(30万1,875円)は、デザイナーやカメラマンの言い値であり、そもそも平均(実勢)というものを計れない。そこで最低限必要な選挙ポスター作成費用を算出し、その額まで公費で負担する助成制度に切り替えてはどうだろうか。
前出の福岡市議選の選挙ポスター作成費(契約ベース)を参考にすると、76万2,290円から97万2,534円の満額(選挙区の掲示場数によって異なる)で契約している立候補者がめずらしくないなか、13~22万円の作成費で契約した立候補者は、当選者のうち10名いた。おそらく20万円前後で選挙運動に支障をきたさないポスターが作れるのではなかろうか。
「凝ったデザインにして他の候補者よりも目立ちたい」という立候補者は、その不足する分を自費で払うようにすればよい。関係各位には、ぜひご一考願いたい。
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