「東京のリッチマンが東京を見捨てる。福岡に移転か?」というニュースを耳にしてもあまり実感が湧かなかった。ところが筆者に寄せられた友人の相談によって、"東京脱出の動き"が本物であることを実感した。
東京の一等地にお住まいのAさんは、今回の東日本大震災で「次は東京がおそわれる。住居移転をしよう」と決断。「ただし、大阪の気質には馴染めない。福岡に移ろう」というプランを立てた。A氏は筆者の友人に相談し、その御鉢が廻ってきたのである。
早速、平尾の250坪の土地を紹介したのだが、その土地は4区画にして分譲されていた。友人は即座に「これでは駄目だ。どうしても200坪以上の広さがいる。坪100万円でも気に入れば買うのだが」と結論を下した。この友人によると「平尾から高宮にかけての100坪以上の不動産であれば東京から逃避したい金持ちたちは即決する」という。
ところであらためて平尾・浄水通りを歩いてみるとふぬけの空き地が一杯あることに気づく。また、老朽化した住宅に目をやれば「高齢化した御家族が処理に困っているのであろう」とすぐに想像してしまう。ひと昔ならば成金が買い漁ったであろう高級住宅ゾーンの閑散とした様を見るにつけて、残念ながら福岡の都市力の衰退ぶりを認めざるにおれない。
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