17日、九州電力は、原発のPR施設などで4月下旬から無償で配布していた冊子『いま知りたい 放射能と放射線 Q&A』(定価1部168円)を撤去した。調査報道サイト「HUNTER」がスクープし、その後の各社の報道を受けて今回の措置に至った。
福島第一原発事故による放射線の影響を「ただちに健康に害を与えるレベルではありません」などと「過小評価した」と言われるこの冊子は、現地周辺住民の避難・屋内退避指示を「念のため」とし、「原発事故を矮小化している」といった批判が出ていた。
同冊子を発行した社団法人日本電気協会新聞部門の担当者は「もともと過度に放射能の危険性をあおる週刊誌などが事故直後に発行されたことから、正しい放射能のあり方を伝えるために今回の冊子を作成した。ただ、冊子が完成するまでの刻々変わる状況に対応できていない部分はあった」とし、「『矮小化』と言われるのはこちらの意図とは食い違う」としている。
今回、九州電力が撤去という判断を下したことについては「九州電力さんは冊子をご購入いただいて無償で配布していたため、こちらでその判断についてどうこうは言えない」とし、「冊子自体は電力会社さんをはじめ、個人の方にもご愛用いただいている。今後もニースがあるようであれば、現在の状況を踏まえた紙面を添付するなど、何らかの対応はしていきたい」という。
日本電気協会は、電気・電力関連の企業のほか、建設、製紙、鉄道などの企業、朝日新聞、日経新聞、産経新聞、読売新聞(いずれも大阪本社)といった大手メディアも入会しており、各企業の営業所・工場なども含めて延べ2,300以上の、幅広い業種の特別会員・個人会員で構成されている。
【大根田 康介】
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