<質問対応で県職員はてんてこ舞いに?!>
6月22日から始まる予定の福岡県議会6月定例会は、大荒れ模様となる可能性が高まっている。ポイントは、議員から知事・執行部への質問において、これまで慣習化されていた事前調整が行なわれないこと。質問に対し、知事・執行部が前もって回答を用意せず、白熱した議論が行なわれるとされている。今年(2011年)2月から設置されている議会改革プロジェクトチームは、この点を議会改革の内容に盛り込んだ。
質問する側、される側の双方が"台本"を用意し、それをただ読み上げるだけの議会は、「本当の議論が行なわれておらず、ただの儀式だ」との批判を呼ぶ。しかし実際に、刷り合わせなしの質疑応答が行なわれた場合、どういうことが起きるのか。
ある県OBは、県庁機能がマヒすると警告を発する。「事前調整がまったくない場合、県職員は議会中継のモニターにかじりつき、質問に対する回答を急いで作成し、議場へ走るような状況に陥る。その結果、本来の業務が一旦ストップするなど、支障をきたす可能性が高い」(県OB)。
同氏は、過去、県議会でおきた混乱を回顧する。それは、社会党と共産党の推薦を受けて当選し、3期12年(1983-1995)務めた故・奥田八二氏の知事時代、最大野党会派となった自民党県議団が、対決姿勢をあらわに出したときのことだ。
民主・自民・公明・国民新・社民の与野党相乗りで支持(支援)を受けて初当選した小川知事。一見、県議会は"オール与党"のように思えるが、実際は真逆に近い。知事選に至る過程で、先に自民党の推薦を得ていた自民党県議団・蔵内勇夫会長が推薦を撤回されるに至った経緯に、蔵内氏を支持する県議の間に不満が蓄積した。政党の別なく、マニフェストを明示しなかった小川知事の政治姿勢に対する不信感もある。今回の議会改革は、小川知事への"宣戦布告"とも受け取れるのだ。
議会活性化が進み、福岡県政がより良くなることは、県民にとって喜ばしいことであるが、急激な改革は時に混乱を呼ぶ。問題はその目的がどこにあるかということだ。結果的に県政の停滞を招くようであれば、それは「改悪」といわざるを得ない。もちろん受ける側も、察知してのことであるから入念な準備を行なうだろう。小川知事がどのようなリーダーシップを示すか、6月の議会で明らかになる。
【山下 康太】
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