<「儲かる」ビジネスモデル>
呉服市場は、ピーク時は2兆円規模だったが現在は3,000億円台にまで落ち込んだと言われている。とくに追い打ちをかけたのが、06年3月の(株)愛染蔵(大阪市)と同8月の(株)たけうち(京都市)の倒産だった。とくに、展示会における強引な販売方法が問題となり、両社の業績は急速に悪化した。
実は同社が上場したのは、ちょうどこの呉服販売大手企業の連続倒産の狭間だった。当然、呉服業界自体への逆風は強く、同社も少なからずその影響は受けただろう。しかし、そうしたなかでも、同社の売上高は約60億円前後で黒字も確保しており、比較的安定している。
「日本和装のビジネスモデルは非常に優れている」と語るのは、京都で老舗の呉服問屋を経営するA氏。「着付教室はすべて直営というわけではなく、メーカーにノウハウを教えるフランチャイズのかたちをとっている。メーカーは販路が狭まっているから、当然この話に乗る。日本和装は出店費などの経費がかからず、加盟店の売上からマージンをもらうから利益を確保しやすい。あとは広告を徹底しブランドイメージをつくれば、自ずと集金できる。縮小する呉服業界でもまだまだ伸びしろのあるビジネスモデルだと思う」(A氏)と評する。
ただ、あくまでも無料きもの着付教室の最終目的は、きものや帯の販売。なかには、無理な販売でクレームが生じる場合もある。しかし、同社は10年6月22日発表の「顧客満足度向上への取り組み」という資料のなかで、顧客からの批判など「すべてを包み隠さず載せる」(同社広報)姿勢を打ち出している。
こうした儲かるビジネスモデルと上場企業ならではの情報公開で堅調に業績を維持してきた同社だが、今年4月、「博多織」と「博多帯」の商標をめぐる訴訟が提起された。原告は博多織工業組合(福岡市博多区)だった。
【大根田 康介】
[COMPANY INFORMATION]
日本和装ホールディングス(株)
代 表:吉田 重久
所在地:東京都千代田区丸の内1-2-1
設 立:1986年7月
資本金:4億5,963万4,444円
売上高:(10/12連結)63億1,055万円
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