東日本大震災の被災者に対して、人手、物資、義援金などの継続的な支援を続けていくことが、1日でも早い復興への唯一の道である。だが、被災地から遠く離れた場所から、実際に被災地に赴き、ボランティアに参加することは、時間的にも費用的にも難しい。それでも復興に向けてできることがあるはずだ。今、被災者が本当に必要としているものとは何だろうか。
震災直後は、食料や水などが不足し、支援物資も食料品や衣料品が何よりも重宝された。しかし現在では、ボランティアセンターなどにある程度の量の食料や水は備蓄されており、被災者にも行き届いているため、今すぐに必要なものとはいえない。
一方、津波の被害を受けた被災者宅の多くは、建物の1階部分が浸水しており、住民は2階に避難するか、または事前に避難所に逃れていた。被災地で筆者がボランティア活動を通して見て回ったところ、1階にある冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなどの電化製品や、スーツや普段着などの衣料品が入った洋服ダンス、コタツやソファーなどは重くて動かすことができずにそのまま放置され、貴重品などを持ち出して2階、もしくは避難所に避難したようだった。そして残るのは、泥の混ざった海水によって使用不可となった冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなどの電化製品と、ヘドロの匂いが染みついた衣服、泥だらけで異臭を放つ家具などである。
食料品の確保、備蓄がある程度できた今は、1階にあった被災時に動かせなかったものが必要になってきている。そしてたくさんの被災者がそれらを欲しているため、ニーズは非常に高い。十分な額の義援金が被災者に行き届いているならば、現地で必要なものを購入することも可能だろうが、義援金を寄付しても、まだ被災者に行き渡っていない。現実的に今、私たちが行なえる被災地支援は、被災者のニーズにあった物資の提供といえる。そして義援金が被災者に行き渡るシステムが構築された後は、継続的に寄付を続けることで、被災地の1日でも早い復興を手助けすることができると考える。
【中山 俊輔】
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