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東日本大震災

隠ぺいされた被災地の真実、問われる報道姿勢
東日本大震災
2011年6月 3日 09:03

 東日本大震災の発生後、マスコミが被災地の様子をありのまま伝えたとは言いがたい。各メディアは、被災者が冷静な対応を行なったと報道したうえで、治安の悪化に関して否定的な姿勢だったが、NET-IBニュースが現地を取材したところ、被災地の治安は確実に悪化しており、被災者が不安な毎日を過ごしていたのは事実であった。これは実際に被災地に行き、被災者に話を聞けば容易にわかることで、「報道規制が行なわれているのではないか」、「メディアは上辺ばかりで、良いことしかニュースにしない。実際の姿はもっと酷い」という声が多くの被災者から寄せられた。

 もちろん被災者の大半は、各メディアが報道した通り、真面目に生活し、1日も早い復興のために一生懸命頑張っている。だが、被災者の一部には、津波の影響で防犯カメラが壊れたコンビニで強盗を働き、流れついた車からカーステレオやタイヤを盗むなど、犯罪行為に走った者もいた。被災地で横行する犯罪行為について、ある被災者は「周りもわかっていたし、仕方ないと思っていた」と語っているが、被災地という極限状態では、犯罪行為と治安の悪化は避けらない。現地にいたマスコミは、容易に情報を得ることが可能で、報道することはできたはずだ。

 しかし、なぜ報道がなされずに「真実を伝えていない」と被災者の多くが不満を抱える結果になったのか。マスコミに、「被災者は震災の"被害者"であるから、その"被害者"に対して、追い詰めるような被災者にとって都合の悪いことを報道できない」または、「美談でなければ被災者の名誉を傷つける報道になってしまうのでは」という意識が働いていたのではないだろうか。だが、被災者の多くは被災地のありのままの姿が伝わることを望んでおり、国民もまた、美談だけが知りたいわけではない。両者は、良い面も悪い面も含めて「被災地の真実」を報道してほしいのだ。われわれマスコミは、たとえ被災者であっても"加害者"ならば厳しい態度で断じるような姿勢でいるべきであり、それが使命ではないだろうか。

【中山 俊輔】

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