<台風来襲のなか400名集まる>
5月29日(日)、大谷賢二氏率いる「カンボジア地雷撤去キャンペーン」(CMC)の一般財団法人化記念式典・祝賀会に、台風2号来襲のなか、400名を超える支援者たちが駆けつけた。さすが、大谷氏の活動が各方面から熱烈なサポートをいただいているのが、よーく理解できた。「CMC」の活動で驚嘆するのは、活動資金のうち「会員会費」からの調達はゼロで、すべてカンパと事業活動で賄ってきたことである。今回の一般財団法人化のねらいは「組織を固めて新たな飛躍を図る」ことにあり、近々正式に財団の許可を得る予定だ。そうなれば、日本赤十字社と同様に寄付行為を損金算入できるようになる。
福岡発のNPO活動団体が、全国の見本になっているケースは数多い。そのトップは、中村哲氏が率いる「ぺシャワール会」である。事業規模は年間15億円、大半はカンパで調達している。それに次ぐのが、大谷氏の「CMC」であろう。カンボジアには駐在員を置き、地雷撤去・被害者の心のケアを目的にしたラジオ放送、学校建設・運営と活動を展開してきたが、行きついたところは「農業復興」である。要は、カンボジアの農民が米の生産性をあげないと(収入を増やさないと)子どもたちが学校に登校できないという現実があるのである。だからこそ、カンボジアの根本的な解決は「貧困の一掃」になる。そのため、これからは事業の完遂が必要となってくる。
<われわれこそが学ぶ>
「豊かな日本の子どもたちは目が死んでいる。それなのに、貧困な国の子どもたちの目は生き生きと輝いているが、何故?」ということを、しばしば耳にするそうだ。「CMC」の活動の一環として、大谷氏は小学校での講演を行なっている。どこの小学生も、大谷氏が話す「カンボジアの現実」の話を聞くと、身を乗り出してくるそうだ。そして、「私たちはカンボジアの子どもたちのために、どういう支援をすればいいのか」と質問をしてくるそうだ。
粕屋町小学校の校長の挨拶には感動した。この小学校では米の栽培をしているそうだ。小学生たちが田植え、稲刈りをして米を売り、ささやかな資金を得る。その金をカンボジアの子どもたちに送金して制服を買ってもらう。「CMC」のスタッフが、制服を着て楽しく授業しているカンボジアの子どもたちの光景を写真に撮る。それを粕屋小学校の子どもたちに見せると歓声があがるという。校長曰く「カンボジアの貧しい子どもたちを支援するつもりでいたのだが、われわれの方が彼らから学ぶことが多いようだ」。カンボジアの子どもたちの存在こそが、眠っていた福岡の小学生を蘇生させてくれたということであろう。
14年間のNPO活動を持続してきた「CMC」は、全国に強固な支援ネットワークを構築した。たしかにNPO活動は清らかなことだ。凡人には容易にできない。だが、10年やっても泣かず飛ばずのようなNPO活動では情けない限りだ。自己満足・自己贖罪のレベルでやっていても、支援の輪は広がらない。NPO活動者にも実績の格付けを行ない、活性化を図る時期にさしかかっているようだ。拡大させるためのセミナーも必要かもしれない。
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