小山市長の地域活性化の構想はほかにもある。
「福津市のもうひとつの財産である山林を活かした街つくりを考えています。山からみた海岸線は絶好のロケーションですから、今は、こつこつと道路交通網などのインフラ整備などを行なっています。都心の人たちが集まる憩いの場として、積極的に自然の良さをアピールしていきたいと思います」と、小山市長はいう。
新築され、橋上駅舎となったJR福間駅は快速列車も止まり、特急列車も朝夕ではあるが停車するようになった。この利便性を確保することにより、駅周辺での再開発も進んでいる。メインとなる福津駅周辺の再開発が進むことで、さらなる活性化が見込めるのではないか。目を移して郊外においては、国道3号線のポテンシャルを活かして、イオンモール福津(仮)の2012年春のオープンが正式に決定された。これからの都市開発に期待が持てる。
ただし、他力本願では時代に乗り遅れてしまう。そこで "時代を生き抜く地力"を培うために07年から10年間「総合計画」となる基本構想を打ち出している。それは前文、基本構想、経営基本戦略の3つで構成され、前文では「地域自治の実現」と「行政経営への変革」を将来像実現のための前提としてとらえている。
しかし、福津市政の現況は、決して安穏としていられるものではない。実際の作成よりも水増しして請求されたことで議員辞職にも発展した福津市議選の選挙ポスター問題について、小山市長も「見直すことが前提」としている。そして現在、市で特別調査委員会を立ち上げて調査を行なっている。この問題に対する市民の意識は高く、市民が主体で立ち上げた「正す会」などで市議を追及する構えだ。
「心構え不十分」と語りながらも県議から市長として転身を果たした小山市長。そのようななかで自分のネットワークを活かし、特産物のブランド化、地域活性化を図る斬新な市政を行なっている。
【文:道山 憲一】
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