「日本は昔は面白くて楽しかった。渋谷も新宿も賑やかで、行くたびにパワーをもらっていました」と、上海の現地ガイドがポツリと話した。会話が過去形なのは今は上海のほうが、毎日目まぐるしく変わり、刺激があるからだとか。「昔なら日本に行かなければ買えない商品が必ずありました。でも今はね、中国にもネット通販もあるし、上海にも日本の商品がたくさん入ってきています。正直、日本に魅力がなくなったんですよ」と続けた。上海が街だけでなく、市場に出回る商品までもが、発展を遂げているとも言えるのだろうか。
確かに上海をはじめ、中国を頻繁に訪れる日本人に話を聞いても、その発展ぶりが伺える。10年前の道路には自転車がかなり走っていたが、現在は自動車ばかりで、フォルクスワーゲン、アウディなどの高級外車もたくさん走っている。1カ月ぶりに訪れるだけで違った光景を見受けるという話もよく耳にする。日々発展を遂げている上海と停滞し続ける日本。中国人観光客が日本に来なくなったのは原発の影響だけでなく、単に日本に魅力がなくなったからなのかもしれない。リーマンショック以降、日本の主要都市は中国人観光客に恩恵を受けて乗り切ってきたが、これからは地方自治体や企業らが都市の魅力をどのように表現していくかにかかっている。
【矢野 寛之】
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