暴力団の関与が疑われる発砲事件や放火事件が散発するなか、福岡県警が暴力団員検挙の姿勢を強く打ち出している。これは同県警のHPにも色濃く反映され、6月に入って以降、県警HPには毎日のように暴力団員逮捕の情報が掲載されるようになった。
そもそも、福岡県が全国初となる暴力団排除条例を施行させたのは、2010年4月のこと。従来に比べて広範な規制と厳しい罰則を盛り込み、暴力団に対して毅然とした姿勢を打ち出すものとして注目を集めた。
しかし、同年半ば以降、暴力団の関与が疑われる重大事件が立て続けに発生。とくに今年の2月以降、建設会社に対する発砲事件などが度々新聞紙上を騒がせたにもかかわらず、誰一人として容疑者の逮捕に至っていない。この事態を受けて、「県警は本当にやる気があるのか!」といった疑問や不満の声が市民の側からあがっていた。
暴力団員の検挙を積極的にPRする県警の動きは、こういった市民の声に応えるものと考えられる。それ自体は大いに評価されるべきであり、暴力団追放の機運を盛り上げるのにもひと役買うことになろう。ただ、個々の逮捕容疑をみると、覚せい剤や公務執行妨害、運転中の携帯電話使用などであり、先に挙げたような重大事件に絡むものではないのが気にかかる。
もちろん、重大事件の解決ばかりが警察の務めではなく、治安の維持と暴力団の追放は平時の積み重ねがあってこそ。県警のスタンスが本物かどうか、今しばらく見守っていく必要がある。
【発信・北九州】
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