6月2日、衆議院本会議の直前に開かれた民主党・代議士会は、菅内閣への不信任決議案否決へのシナリオが組まれていた。その立役者は、まず、司会を務めた山岡賢次党副代表。そして、ご周知の通り、土壇場で不信任決議案へ反対の意思を表明した鳩山由紀夫前総理と原口一博前総務相である。
このうち、かねてから"裏切り"の危険性を指摘されていた鳩山氏(田中真紀子元外相が、前夜(1日)の会合で警告を発していた)は、然もありなんといった諦観すらただよっているが、一方の原口氏は党内の人望を著しく失ったといわれている。
代議士会における菅首相の「震災対応へ"一定のメド"がついた時点で」というあいまいな退陣意思表明を受けて、多くの議員が手を上げるなか山岡氏に指名されたのは、鳩山氏と原口氏。そして両氏は土壇場で手の平を返し、山岡氏はそれを見届けるや否や、衆議院の本会議場へ駆け込んだ。
小沢グループの民主党議員によると、実はこの前夜、不信任案に白票(賛成票)を投じる覚悟を決めた80名近くが集まったところに原口氏も姿を現し、「一緒に頑張りましょう!」と、一人ひとりと固い握手を交わしていたという。
また、原口氏は、たったひとり白票を投じ、民主党を除名された小沢グループの実力者、松木謙公元農水政務官と関係が深い人物でもあった。「松木は原口につくしていた。原口の勉強会でも人集めに尽力していた。それゆえ、代議士会の様子を見ていたわれわれには衝撃が走り、パニックに陥った」(民主党議員)。
鳩山氏以上に原口氏の翻意に対する落胆の声は大きい。自身の今後を見据えての行動とも言えるだろうが、その結果、原口氏についていく民主党議員は、もはやいないという。原口氏の故郷であり選挙区でもある佐賀の人は責任感が強く、意志が強いといわれる。しかしながら、今回の豹変ぶりには、その気質の欠片も感じられなかった。
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら