山口県上関町に建設予定であった中国電力の上関原発計画が、暗礁に乗り上げている。
原発を推進していた上関町の柏原重海町長は、福島第一原発の事故後、国がエネルギー政策を見直す方針を打ち出していることから、「上関原発の取り扱いが不透明になっている」とし、「今後の展開次第では抜本的な見直しを迫られる」と原発財源に頼った町の財政面の危惧を表明した。
同町は、2011年度の当初予算約44億円のうち、国からの原発立地特別交付金を11億円(09年度から12年度の4年間で合計25億円)計上している。この財源で上関海峡温泉保養施設の完成、ふるさと市場や総合文化施設の着工など計画。最終年度の来年度は約10億円で、ふるさと市場や総合文化施設の完成を予定している。
凍結となった場合、来年度以降の交付金見通しが不透明となる可能性があり、また中止となった場合、交付金や中電の寄付金などに依存した町財政は破綻した夕張市同様、一気に財政再建団体へ転落する可能性さえある。
原発を受け入れた上関町にとっては、「進むも地獄、退くも地獄」の財政危機に直面することになる。
【北山 譲】
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