北九州商工会議所 専務理事 羽田野 隆士 氏
<北九州空港の活用の現状>
―北九州空港の活用状況はどうでしょうか。
羽田野 北九州空港は、今年3月で開港5周年を迎えました。九州初となる24時間空港として当初は名古屋便や那覇便もありましたが、現在は日本航空とスカイマークに加え、スターフライヤーと全日空のコードシェア便(共同運航便、同一便を複数の航空会社が販売する形態―編集部註)が北九州―東京間を運航しています。海外便では済州(チェジュ)航空がソウル(仁川)便を運航しており、近々スターアライアンスが海外便を飛ばす話も出ています。
就航していたギャラクシーエアラインズの廃業・清算など紆余曲折を経ましたが、現時点では24時間空港としての優位性をフルに発揮できているとは言い難い状況が惜しまれます。
<5.240万人のコンソーシアム>
―新幹線にも関連することですが、朝の博多に向かう便、あるいは夕方の北九州に向かう便はビジネスマンで埋まっています。大手企業の北九州支店が営業所となって福岡への人間の流れができつつあり、北九州の影響力の低下を感じています。
羽田野 その点は危惧しているところです。広域の経済圏を形成してパイを広げていかなければなりません。福北連携と並んで下関・山口県とも連携して市場規模を拡大していく必要性もありますが、これは長らく抱えている課題でもあります。下関に加えて京築・中津と連携すれば、240万人のコンソーシアムを構築できます。
先の下関商工会議所と北九州商工会議所が共同で開催する「全国商工会議所関門観光振興大会」には、両地区の連携を密にするという意味合いもあるのです。
―末吉市長の時代、日本銀行が経費削減のため北九州支店と小樽支店の閉鎖を地元に打診したことがありました。小樽支店とは違い、北九州支店は地元経済団体の猛反対を受けて閉鎖話は現在休止されておりますが、当時の市長は下関と北九州の広域合併を構想していたようです。
羽田野 おっしゃる通り、県のくくりが無ければ門司と下関は「関門」として1つになるのが夢でしたが、実現には至っていません。
ただ、今後の道州制の議論が進めば、広域連携の話が再度取りざたされることになるだろうとも考えています。門司港と下関港を「関門港」として位置づけ、両地区が一体として活動することがコンソーシアムの形成には欠かせません。
また今後、北部九州地区が中国に向けた窓口になることは間違いありません。現時点では博多が先行していますが、韓国のように一極に資源を集中させるようなやり方も取り入れていかなければならないですし、関門港の重要性はますます大きくなってくると思います。そうなると、政治のリーダシップも必要になってきます。
―再選を果たした北橋市長には、北九州市をかたちづくる4年間にしてほしいものです。本日は「モノづくりのまち」ならではのお話をいただき、ありがとうございました。
【文・構成:田口 芳州】
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