18日(土)、福岡県飯塚市内のホテルにて、「『漫画 伊藤伝右衛門物語』出版記念講演会」が開かれた。講演では、同市出身であり漫画好きでも知られる元内閣総理大臣の麻生太郎氏が、集まった約200名の聴衆を前に熱弁を振るった。
同書は「筑豊の炭鉱王」と呼ばれた伊藤伝右衛門の半生が描かれた漫画で、今年(2011年)3月に講談社より出版されたもの。原作の深町純亮氏、脚色の津流木詞朗氏、画の羽月由憲氏の3氏は、いずれも地元出身。同書の帯には、麻生元首相による「そこそこおもしろい。推薦します」との推薦文も書かれている。
講演で麻生元首相は、当時の筑豊地域の歴史背景を踏まえたうえで、「伊藤伝右衛門は"石炭成金"で、"金で良い女(妻・柳原白蓮)を買った"というようなイメージしか皆さん持たれていませんが、地元・筑豊の人材育成――教育の普及のために、石炭で儲けた金をつぎ込んでいました」と、伝右衛門の功績を紹介。当時の世界情勢にも触れながら、「欧米列強の植民地支配をまぬがれ、日清・日露戦争を乗り切った日本の近代化を支えたのは、筑豊で生み出された石炭であり、それによって精製された鉄です」と展開していった。
また、3月に起こった東日本大震災にも触れ、「被災地の人たちはすでに明日に向かって歩き出している。『あの大震災以降、日本という国は再び変わった』と言われるように、我々は復興の先まで見据えて頑張っていかなければならない。伝右衛門の時代のように "時代を生き抜く気概"を持って、ここ筑豊からも人材を育て、世に送り出していきましょう」と、講演を締めくくった。
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