東日本大震災により壊滅的打撃を受けた三陸鉄道の全面復旧が、現実味を帯びつつある。岩手県は県議会に提案する2011年度一般会計補正予算案に、三陸鉄道の運転資金として1.6億円を計上した。一方、政府では、国土交通省が、三陸鉄道などに対する災害復旧の国庫補助率を現行の4分の1から4分の3へ引き上げるよう財務省と協議を行なっている。
三陸鉄道は1984年に開業。経営状況が悪化した国鉄(当時)が不採算路線として廃止した路線を、岩手県、関係市町村が協議の末に第3セクターとして設立した。以来、27年間、地域住民の通勤・通学の足として活躍。そのほか、観光客へ向けた地元のPR活動なども熱心に取り組み、三陸海岸のシンボルとして「三鉄(さんてつ)」の愛称で親しまれていた。
被災地の復興のためには交通インフラの整備は急務であり、震災・津波により自家用車を失った被災者にとっては、とりわけ電車・バスなどの公共交通機関の復旧が望まれる。また、"地域のシンボル"が再び走る、その勇姿は復興への希望として映るだろう。同鉄道の社員は、震災後まもなくして人力による復旧活動に取り組んだ。そこにあるのは、仕事への責任と誇り、そして郷土愛である。
そのような背景や被災地の想いが日本全国へ伝わった。今、各地で同鉄道への支援活動が始まっている。福岡市では6月26日(日)、博多区でチャリティー・コンサートが企画(関連リンク参照)されている。同コンサートのチケット売上および寄付は、三陸鉄道 社友会へ届けられる。主催者の市民グループ「この指とまれ大地(つち)の会」によると、コンサートでは、同鉄道社友会から届けられた写真資料などを公開する予定。また、「福岡から元気が届くようコンサートの様子を収録した動画を届けたい」と、語っている。
▼関連リンク
・三陸鉄道の復旧へ、福岡でチャリティー企画~冨永裕輔氏コンサート
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