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東日本大震災

被災者の思い出守りたい、流された写真を被災者へ~震災後100日経過、被災地は今(3)
東日本大震災
2011年6月22日 07:00

 東日本震災の発生から月日が経ち、ボランティアに要請される内容も多種多様となっている。震災後の当初は、家具や電化製品などの撤去、泥出しやガレキの撤去などが多かったが、最近では避難所の清掃や被災者への傾聴、そして今回、紹介する写真洗浄などの依頼も増えてきている。

 写真洗浄ボランティアの内容としては、震災で流されたアルバム・写真をはじめとして、ほかに位牌やトロフィー、はたまた卒業証書など被災者の思い出となる品を回収し、洗浄し綺麗にした上で展示・受け渡しを行なうもの。今回、筆者は仙台市今林区での写真洗浄ボランティアに参加した。

膨大な数の写真が展示されている

 主に仙台市や市民、自衛隊などが回収した品が集められており、その数は膨大であった。スタッフは地元のボランティアが交代で作業にあたり、足りない人員をボランティアセンターからの派遣で賄っている。品によって状態は様々で、なかには長時間水没しており廃棄という形をとらざる得ない場合もあるが、スタッフは「皆少しでもいい状態で被災者へお渡しできるように」という想いで作業に当たっている。綺麗になった品は若林区中央市民センターで展示・引渡しされている。
写真だけでなく、賞状やトロフィーなどもある 若林区の職員によると、写真洗浄・展示は5月より行なわれており、展示当初は1日300人ほどの来場があったという。最近は100人ほどへ減ったということだが、訪れる人の大半が数時間をかけて見て回るとのこと。同職員は「ひとりでも自分の思い出の品を探してくる被災者が居る限り、続けていかなければならない」と、語った。
 
 ボランティアセンターのスタッフによると、以前派遣したボランティアから、「この作業をして何の意味があるのか」という質問があったという。作業内容は変わっても、被災者の要望を叶えるという面では変わらない。
 被災者の要望に意味のないことはない。何のためのボランティアなのか、誰のためのボランティアなのか、ボランティアは根本的な考え方を忘れてはならない。

(つづく)

【杉元 敦】

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