＜託された企業の再建＞

　―国外に工場を移転したのですね。従業員も契約社員を含めて56名ということですし、ここ５年で大きく変わりましたね。

　島内　社長になって丸４年になりますが、実は、予想もしなかった社長就任でした。きっかけは、先代の社長がパーキンソン病を患い、しだいに社長業務が負担になってきていたことです。「次は誰に」という話になるのですが、私はといえば、それまで海外事業畑で年間100日は海外出張という状態でしたし、銀行と折衝した経験もありませんでした。それでも、前社長とは学生時代を含めて40年来の付き合いだっただけに、私が後を引き継ぐことになったのです。

　―当時は厳しい環境のなかに置かれていましたね。

　島内　話には聞いていましたが、実際に経営に触れてみると驚かされました。就任に先立って１年間の準備期間があり、その際、すべての帳簿類に目を通したのですが、要は首の皮１枚で繋がっている状態だったのです。事務方が嫌がる資料もすべて提出させ、どうすれば立て直せるのかを悩んだあげく、「すべてを変える」という結論に至ったわけです。先ほどの工場の話にしても、当時200名いた工場のパートの仕事を段階的に中国に移していきましたが、海外畑で培った経験と人脈が活きたと思います。もちろん、なかには移転してはいけないものや生命線であるノウハウもあります。しかし、そこが大きく赤字を出していたこともあり、この点については資本関係のないまったくの別会社を立ち上げてやらせることで、経費の削減を進めました。

　―従業員の評価制度も、見直しの対象にされたと。

　島内　評価云々というより、くだらない会議は全部やめようという視点からです。以前はコンサルを入れたうえで年に２回の評価を行ない、そのための会議に相当な時間を割いていました。査定する手間と暇を考えれば、いっそシンプルな年俸制にしようということになりました。当社では正社員のほかに10名程の契約社員もいますが、基本的にはすべて同じ給与形態にしています。

　―海外畑が長い分、思い切った発想の取り組みをやれたのですね。徐々に成果が表れつつあるようです。

　島内　おかげさまで、ここ５期は順調に利益を出すことができ、以前の不良資産を徐々に削ぎ落していくことができるようになりました。従業員の頑張りに報いるために、株主への配当よりも従業員のボーナスというかたちでの分配を重視しています。寸志程度ではありますが、ようやくここまで持ってこられたのは、社員のおかげだと考えたからです。

【聞き手：弊社北九州・山口統括本部長　浜崎　裕治】
【文・構成：田口　芳州】

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ボングルメ（株）
所在地：北九州市小倉北区赤坂海岸5-17
設　立：1967年４月
資本金：１億3,872万5,000円
売上高：（11/3）約78億円

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