中国で現地法人を設立するにおいて、様々な問題がある。主なところでは、手続きが煩雑で不透明、税関規則の複雑さなどが挙げられる。手続きが煩雑では、時間とコストの浪費につながり、対応を間違えると、経営に大きな支障が出る。とりわけ、製造業の現地法人を設立する際には、「開発区」に立地することが多いが、この「開発区」が国家級や、省級、県級などグレードが異なり、そのグレードに伴い、権限も異なる。よって、権限の低い「開発区」では、他の機関での手続きが必要だったりと、手続きの仕方が煩雑で分かりにくくなっているのだ。
対応策として、企業の場合は、「開発区」の企業誘致担当者や知り合いの中国人からの情報・説明に基づいて申請をするのだが、それだけでは不正確な部分も多く、不十分である。最初を誤れば、将来にわたってのトラブルにつながってくる恐れもある。ここは、専門にしている弁護士事務所やコンサルティング会社に委託するのが望ましいのではないかと思う。ジェトロとしての支援策も用意してあるので、多方面で対処することが望まれる。
食品原料の加工を行なうある中小企業は、二十数年前から中国の農村部で工場を設立し、稼働していたが、合弁会社出資者の変更登記を怠ったばかりに、地元政府から立ち退きを迫られるなどのトラブルに見舞われた。行政が介入するトラブルは多く、理由や法的根拠が示されないまま、おおむね企業側が不利な取り扱いを受けることが多い。中国ならではの一点突破型のやり方だ。おさまり方としては、企業側があきらめるパターンが多い。
当事者となった企業は、恥ずかしいという気持ちをぜひ捨てて、外部の機関に早期の支援要請をする必要がある。ジェトロも日本大使などと連携し、中国政府に解決協力を要請できるので、利用する価値はある。
【文・杉本 尚丈】
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