29日に開かれた福岡県議会本会議・代表質問は、小川洋福岡県知事にとって手厳しい洗礼と言える内容であった。県議会側は、これに先立ち議会改革として、知事、執行部側と、質問に関する事前の過度なすり合わせを行なわないことを決めていた。
具体的には、質問の項目を示すものの、これまで行なわれてきた原稿の受け渡しをしないというものだ。ただし、質問項目に関して趣旨の確認については、執行部側からの事前質問を受け付ける。また、知事および執行部の答弁を受けて行なわれる2回目以降の質問では、その場で考えてから行なわれる。議席の最前列には、質問者および補助員の席が設けられた。
同日は、自民党県議団(中尾正幸県議)、民主県政クラブ(吉村敏男県議)の代表質問が行なわれた。共通して、小川知事の政治姿勢の確認が行なわれ、麻生渡前知事との関係性に関する質問も行なわれた。そのなかで「麻生傀儡」「麻生院政」といった言葉も繰り出された。小川知事は関係性を否定。中小企業、農林水産業の振興、子育て支援などを充実させていく方針を述べ、独自性を強調した。
また、小川知事が掲げる「県民幸福度日本一」について、吉村県議から幸福度の尺度、達成時期、その手段などが質問された。小川知事は、何を幸福とするかは人によって違うため、どう測るかは難しく、個別具体的な目標を掲げる施策で実効性をあげるとの不明瞭な答弁を行なった。
午前中の傍聴者は約60名。田川郡添田町の教員(49)は、「初めて県議会を傍聴したが、県議の質問がどこへ向けてのものかわかりづらかった。細部への質問に対し、執行部側が資料を用意できていなかったが、事前の調整がなければそうなるだろう」と感想を述べた。実際に、答弁までに30秒から1分ほどの間があくことが数回。聞かれた内容とは違うことに関する答弁もあった。小川知事にとっては、手厳しい洗礼を受けたかたちと言える。
【山下 康太】
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