レイクサイドホテル久山は、福岡県糟屋郡久山町が進める「健康田園都市構想」の中核施設のひとつとして、1997年2月にオープンした。同ホテルは民営だが、隣接地に久山町が96年春に開設した健康チェック施設「ヘルスC&Cセンター(ピアジェひさやま)」と一体となり、「ヘルシーフォレストひさやま」ゾーンを形成。周囲を自然遊歩道として整備することで、全国的にも珍しい滞在型の健康リゾート拠点を目指していた。
同ホテルは5階建ての本館と98年に増設された地下1階、地上2階の別館の二棟がある。オープン当時の目玉は、町が掘った温泉を活用した露天風呂で、自然に囲まれた6種13の趣向を凝らした浴槽が話題となった。
同社は99年4月、同じ久山町の商業施設「トリアス久山」内にスーパー銭湯「ゆあみ茶屋 徒然の湯」をオープン。ホテルとスーパー銭湯を柱に事業展開を進めてきたが、近年は集客力の低下から売上高が減少傾向にある。以前は10億円を超えていた売上水準も、現在では10億円を割り込む状況となり、採算面の悪化が進んできた。このためリストラを進めてきたものの、業績の回復には至っていないようだ。
所有するホテルには2008年10月に久山町から差押登記がなされており、10年11月には福岡県信用保証協会が一部代位弁済も行なっている。
オープン当初は、その話題性から注目を集め、久山町の起爆剤となりうる可能性を感じさせたホテルだったが、すでにその面影は失われつつあるようだ。
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