<高額フィーの仕事しか受けないコンサル会社>
弁護士や公認会計士といった士業の間でも、アジア戦略はビジネス上の重要な位置を占めるようになってきた。とりわけ中国ビジネスは、日本企業からの相談も多く、いくつもの弁護士事務所や公認会計士事務所が手掛けるようになってきている。
直接、中国に拠点を打つ事務所もあれば、中国の事務所との提携によりビジネスを成立させる事務所など、その手法は様々だ。ただし簡単にはいかないのが実情のようだ。ある会計士は「中国語が喋れなければ話にならない」と断言する。
日本ではM&AやIPOは、現在も停滞した状態が続いており、公認会計士も税理士と仕事を奪いあわなければならない状況だ。一方で中国は、大型案件が数多くあり、士業の市場としては魅力的なものだ。結果的に有能なコンサルタント会社に仕事が集中してしまうことになる。
1990年代前半から実績を積み重ねてきた会計士が立ち上げた上海のMコンサルティングには、捌ききれないほどの依頼が舞い込んでくるという。同社を知る人によれば「案件が多いため、4,000万円以下のフィーの仕事は原則受けていない」そうだ。また仕事が集中する理由については「中国語もパーフェクトで実務能力に長けているため」と説明する。裏を返せば、それだけのスキルを持つ専門家がまだまだ少ないということだろう。
こうした専門家の分野でも上海は、ニューヨークなどの資本主義国家の大都市に比肩する存在になりつつあるようだ。
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