山口大学と鹿児島大学が申請していた共同獣医学部の設置が文部科学省の大学設置審議会で認められ、来年(2012)春に開設されることが決まった。
共同獣医学部は、両大学の農学部にある獣医学科をもとに設置。定員は両大学ともに30人。入試は別々に募集するが、入学後は同じ教育カリキュラムとなる。
同じ獣医学科であっても山口大学はペット、鹿児島大学は家畜の分野を得意としており、今回設置が認められた「共同獣医学部」はより広い選択肢を学生に与えることになる。
実際のカリキュラムでは、通信回線を利用し、自分の大学に居ながら相手の大学の授業を受けることができるとともに、学生は互いの大学に出向いて実習を受けることもできる。ちなみに、今年(11年)3月に開業した九州新幹線さくら(鹿児島中央駅~新山口駅:片道料金1万4,270円)を利用した場合、片道で最短2時間12分。
文部科学省によれば、別の大学同士の共同学部の設置は全国初とのこと。
大学受験対象者が減少するなか、大学も特色のある学部を持たないと生き残りは難しくなってきている。今回の薩長(鹿児島大・山口大)による「共同獣医学部」の設置は、将来的には県境を越えた学部の統合および大学の合併の口火となるかもしれない。民間企業は景気動向により、採用人数を調整してきたが、大学の定員には大きなメスは入っていない。国公立および私立大学にとって、学制改革(明治維新)の夜明けとなるか----。
【北山 譲】
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