業務用炊飯器制作設置メーカーのパーキテック(株)(本社:広島市東区、吉田哲夫社長)は、東日本大震災の被災地支援として女川町厨房プロジェクトを推進している。同プロジェクトは、菓子パンやおにぎりという避難所の食事を改善しようとする宮城県栄養士会のことを新聞記事で知った吉田社長が、同社のIH万能調理器の設置を同栄養士会に申し出、女川町避難所に同調理器を含む厨房設備一式を設置することとなったもの。
吉田社長によると、同調理器では魚を焼いたり野菜を加工することができないため、調理を担当する現地の飲食組合から完全給食を可能にする施設の要望があった。そして、広島市や企業の協力を得て、完全給食に必要な魚焼き機・冷蔵庫・食器などを用意することができた。魚の料理もできるので女川町の漁業の復興にもなればという。
以下、同プロジェクト経過報告として、弊社社長あてに届いた内容を紹介する。
5月中旬にお話を頂き、都合3回の現地打合せを重ねて概要をまとめた首題プロジェクトにつきまして、6月29日(本日)早朝、快晴のもと、広島から10トン車1台4トン車2台、神戸から10トン車2台の計5台編成にて、800人分の完全給食を可能とする厨房設備、備品一式が、被災地女川へ向けて出発しました。各位のご協力に対し、心から、御礼申し上げます。
災害支援のあり方の1つとなる事例と存じますので、後日ため、本プロジェクトの経緯を纏めておくことと致します。
1.経 緯
(1)3月11日午後、東日本広域で大地震発生。大津波を伴い、三陸一帯を中心に激甚の被災。
(2)未曾有の被災に、大量の避難所が開設され、全国から支援物資が続々届くも、食事は質量とも不十分。弊社は、サウジアラビアに輸出するために在庫中の「IH万能調理機(一度に200人分の炊飯や調理が出来る)」の拠出を発意し、3月20日の社内会議で決定。津波と原発の二つの災害に苦しむ福島の避難所の中から設置場所を選定することとして、3月23日に吉田社長が福島入り。県災害対策本部物資班とコンタクトするも、避難所で恒常的炊き出しを実施すると、おにぎり提供業者の業の圧迫となると受け入れを断られた。官には、こうした発想があることも解った。
(3)4月上旬、宮城県栄養士会が避難所の食事の改善に立ち上がった(新聞記事)ことを知り、同会支部長石川さんにコンタクトした。石川さんは趣旨に共感し、宮城県庁保健福祉部宮城主幹に連絡して下さり、同主幹から、IH釜設置候補地の紹介を頂いた。候補地として数あるも、まず女川、と。(ユネスコが支援に入ることになっていたものが不調になった由)
(4)並行して、NPO法人ジャパンプラットフォームからも、女川に支援が必要との情報が入った。
(5)女川町災害対策本部とコンタクトを開始。貴我、電話でのコミュニケートを試みるが、なかなか通じない。
(6)5月中旬、漸く通信の頻度が向上。5月27日に、第1回の女川現地打合せの運びとなった。以来、現地打合せ 計3回。他に、電話会議を重ね、本日の設備、備品発送の日を迎えるころが出来た。都合3度の打合せ覚えは既報です。
2.本プロジェクト・設備、備品類
(1)本プロジェクトについて、当初は、パーキテック社製万能調理機の活用によるお手伝いのつもりが、現地の皆さんとの打合せのなかで、食への取組みによる「地域復活」にかける心意気に心うたれるものがあり、計画は、本格厨房の建設へと発展していった。以下、本厨房に設備する設備品リスト。
3.その他、広島市長、広島市議会前副議長佐々木議員のご厚意で、広島市教育委員会、広島市社会福祉協議会他のご協力を得ることが出来、以下のような備品のご提供をいただくことが出来た。備品リスト以下。
4.今後の工程
7月1日~2日 設備備品荷下ろし、所定場所に配置、段ボール整理
2日~7日 配管、配線接続工事
3日~7日 消耗品等整理、3日白衣着、4日食器着
8日~9日 主要設備試運転(炊飯、焼きそば、カレー)
10日~17日 女川麺飯飲食組合の皆さんによる開業準備
18日 給食調理開始(海の日記念)
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