5日、航空自衛隊は、那覇基地 第83航空隊 第204飛行隊所属のF-15J戦闘機1機が同日午前10時半過ぎに那覇の北西185kmの海上に墜落したと発表した。同機は1人乗りで、操縦していた川久保裕二3等空佐(37)の安否および事故原因については確認中。
航空自衛隊によると、同機は対戦闘機戦闘訓練のため、4機編隊の1番機として5日午前9時59分頃、那覇飛行場を離陸。午前10時29分頃、1番機操縦者から「戦闘中止」の無線が発信され、僚機から緊急状態が宣言され、午前10時33分頃、レーダーから機影が消失したという。
その後、午前10時46分頃、一緒に訓練を行なっていた僚機が那覇から325度185kmの海上に破片らしきものを確認し、午前11時12分頃にF-15Jの垂直尾翼、午前11時39分頃にスピード・ブレーキと尾翼の一部が発見された。午後5時22分頃、海上自衛隊の護衛艦「はるゆき」が垂直尾翼1枚を収容し、垂直尾翼記載の機番号により1番機の垂直尾翼であることが確認された。
現在、航空自衛隊、海上自衛隊、海上保安庁により操縦者を捜索中であり、航空自衛隊は事故調査委員会を立ち上げ事故調査を実施するという。
通常、操縦者が脱出していれば自動的に救難信号が発信されパラシュートが開き救命胴衣も着水すれば自動でふくらみ、これに救命浮舟、救命無線機、非常食料、救急医療キットなどが付属されており、早期発見されるはずである。しかし、今回は早期発見が遅れている。
今後は、過去の同種事故発生時と同様、事故原因が究明され安全対策のための教育が実施されるまで同型機の飛行訓練は中止されるとみられる。同種事故再発防止のため、徹底的な事故原因の究明が求められる。
F-15は初飛行から31年を経過した今でも世界でトップクラスの実力を持つ戦闘機として知られており、米国、イスラエル、日本、サウジアラビア、韓国が運用している。航空自衛隊ではF-15は全国の9個飛行隊などに約200機が主力戦闘機として配備されている。第83航空隊には2009年3月までF-4EJ改戦闘機部隊である第302飛行隊が所属していたが、南西諸島方面の島嶼部への侵攻に対処し防空能力を強化するため、百里基地(茨城県小見玉市)のF-15J戦闘機部隊である第204飛行隊と入れ替えが行なわれている。
【吉澤 英朗】
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