14日、九州電力(本社:福岡市中央区、眞部利應社長)は、経済産業省が主催した玄海原発(佐賀県玄海町)の安全対策の説明番組における「やらせメール」事件で、調査した事実関係と再発防止策を同省に報告し、公表した。
九電の信用問題のみならず、「原発の安全性」の信憑性について根底から揺るがす不正であるが、一体、どのようにして「やらせ」が行なわれたのか。記者会見の発表をもとに、ここで整理する。
6月21日、原子力担当の段上守副社長(6月末退職)と原子力発電本部長の諸岡雅俊常務(6月末退職)、そして佐賀支店長の大坪潔晴氏(現・佐賀支社長)が佐賀市内で会食。その際、「玄海原発2号機、3号機の発電再開に賛成する意見の投稿を増やすことが必要」との認識を共有した。
原子力発電本部では、翌22日、段上副社長が諸岡本部長に説明番組の周知を指示し、同本部長から同本部部長、部下の課長級社員へと指示が続いた。周知では、具体的方法に関する指示はなかったが、課長級社員は、社内の原子力発電本部および7事業所(計498人)と原子力関係協力会社4社(計2,337人)に対し番組への賛成投稿をメールで要請した。要請を受けた協力会社4社では、メールのほか口頭による要請も行なわれていたという。
なお、副社長、同本部長、同本部部長は課長級社員以下の動向を把握していなかったとしている。
一方、佐賀支店では、翌22日、支店長が3人の部長に賛成投稿を増やす具体策を検討するよう指示。3部長以下、課長級社員1人、営業所長2人の計6人は取引会社26社(計72名)および顧客5社(計7人)に口頭で要請した。このうち、取引会社23社については、支店部長1人が作成した賛成投稿の事例文6つを手渡した。同支店長はこの件について報告を受けたとしている。
その結果、141人が、6月26日に行なわれた玄海原発の安全対策の説明番組に賛成意見を投稿した。同番組での総投稿数は589件。内訳は、賛成286、反対163、その他146であり、「やらせ」による投稿がなければ反対が賛成を上回っていたことになる。
【吉澤 英朗】
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