前回でも触れたように、「快適倶楽部リフレ」は節電などの取り組みでも高い評価を得ており、その実績は『中小企業のための省エネガイドブック』(発刊:北九州商工会議所)にも取り上げられている。震災の影響を受けて節電意識の高まりが求められる今夏、参考にしていただきたい事例としていくつかを紹介する。
<温水プール・洗い場排水の排熱利用>
スポーツクラブの温水プールは、比較的水温の高い水を大量に蓄えた水がめのようなものといえよう。水1ℓの温度を1℃上昇させるには1 kcalの熱量が必要であるが、プール全体ともなれば膨大な熱量が蓄積されていることになる。しかも、水質管理の点から常に一定量が排出されており、それと同時に熱量=エネルギーも失われている。たとえば、30℃の温水を1秒間に5ℓずつ流出させれば、1時間で30(℃)×5(ℓ)×3,600(秒)=54万kcalのエネルギーを捨てるといった具合である。
同社は、この排熱を利用するために下水道管の一部を取り外し、その間に熱交換器を設置。お湯の熱が金属製のスプーンを伝って持ち手に伝わるのと同じ原理で水を温め、毎月の灯油使用量の平均25%を削減することに成功した。また、簡易な構造で高い効果が得られるこの装置は、広島のノシロ工業(株)が商品化。「省力型湯熱交換器 ecopit」(エコピット)として販売されるに至っている。浴場を持つ施設や食品加工用のお湯を大量に消費する施設では、特に効果が高い施策といえよう。
<ボイラーの排熱利用>
プール用の温水などを大量に必要とする同社では、中規模のボイラーを複数台設置しているが、排熱の利用はここでも行なわれている。原理は前述の熱交換器と同じだが、ボイラーから出る熱が相当高温であるため、よりいっそうの省エネ効果を見込むことができる。具体的には、ボイラーの煙道内にらせん状の熱交換器を組み込み、そこから得られた熱を給湯や空調に活用するシステムだ。「必要は発明の母」というべきか、日々の業務のなかからアイデアを捻り出す作業はノウハウの蓄積というかたちで同社の財産となり、それがさらなるアイデアにつながるという好循環を生み出している。
【田口 芳州】
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<問い合わせ先>
ノシロ工業(株)
(広島県呉市、椋本定雄代表)
TEL:0823-72-1515
日本テクノ(株)
(東京都新宿区、馬本英一代表)
TEL:093-512-6555(北九州営業所)
TEL:092-477-8880(福岡営業所)
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