大学から幼稚園まで36の学校を擁し、学生・生徒数は3万人を超える都築学園グループ。全国でも屈指の学校法人として知られ、福岡の老舗百貨店・岩田屋の資産買収は福岡経済界に大きな衝撃を与えた。一方で不祥事も多く、前総長が強制わいせつで逮捕された事件は記憶に新しい。大学全入時代と言われる少子化の影響、さらに不祥事による学生離れから同学園の業績は急激に落ち込んでいる。巨大学校法人グループの現状を検証する。
<全国でも有数の学校法人グループ>
都築学園の創業者である都築頼助氏は徳島県出身。九州大学を卒業後に同大学院を修了し、現在の福岡教育大学教授を務めた人物だ。同氏の妻・貞枝氏は、戦後初の公立高校女性校長として福岡県立筑紫中央高校や西福岡高校学校長を歴任した人物。この都築夫妻が福岡市南区で1956年4月に創立したのが学校法人高宮学園(現・都築学園)である。
創立とともに福岡第一高校を開設し、60年4月には隣接地に第一薬科大学を開校した。この両校が都築学園の出発点である。現在の都築学園は、ほかの6つの学校法人とともに都築学園グループを形成している。現在、都築学園の理事長に就いている都築仁子氏は、2007年11月の就任だが、これは前理事長である都築泰壽氏が07年11月に学内での強制わいせつで逮捕されたことを受けて急遽、理事長に就任したものである。創業者の都築夫妻が初代、その次男・泰壽氏が2代目、仁子氏が3代目となる。仁子氏は福岡女子大卒業後、梅光女学園大学大学院修了。理事長就任前も都築学園グループの要職に就いていた。グループの中核法人でもある都築育英学園の理事長には都築明寿香氏、都築教育学園の理事長には都築美紀江氏が就いており、実質的な同族経営である。
以前は9つの学校法人があったが、現在は6つの学校法人に集約されている。現在の6法人は、都築学園、都築育英学園、都築教育学園、都築俊英学園、都築第一学園、都築科学学園。過去に存在していた学校法人の都築インターナショナルと姫路学院は、両方とも09年1月に都築学園に統合。同様に都築関東学園も09年5月に都築俊英学園に統合された。都築学園グループのホームページには、学校一覧が掲載されているが、同グループは学校の改廃が激しく、学校を管轄する法人が分かりづらい。最新の登記情報を基に別表を作成したので参照していただきたい。
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