都築学園が、ミュージシャンなどの才能を世に送り出した学校として華やかな知名度を誇る一方、不祥事の面でもよく知られた学校法人であることは前回述べた。同学園はこうしたマスコミを賑わせた事件のほかにも、モラル欠如とも言うべき事件にはことかかない。過去には地元住民との間でトラブルも起きており、地元での評判はすこぶる悪いようだ。
<教育機関とは思えない拝金主義的な印象>
1998年1月、福岡第一高校の所在地である南区玉川町に、一斉に「福岡第一高校の学生寮建設反対」の立て看板が林立した。当時の状況を地元町民に聞くと、この地区では長年、同校の一部不良学生により、自転車の盗難、住居への不法侵入、喫煙、お年寄りへの威嚇行為などが頻発しており、町内に学生寮などとんでもないということで、寮建設反対運動は盛り上がったのだという。幸い、反対運動は成果を挙げ、学生寮建設は中止されたというが、その後も同様の被害は続いていたそうだ。
問題はむしろ、その後の同学園関係者の対応である。学生寮建設問題を中止した直後、同学園関係者が町内に大量のビール券を配布、怒った住民が回収し、突き返すという事態となった。また同じ時期に行なわれた南区玉川校区の「新年交流会」では、現れた福岡第一高校の都築校長(現理事長)ら都築学園グループの職員が、いきなり100万円を寄付し領収書さえ要求しなかったとされる。100万円を寄付された地元関係団体は、その処理に困り、1年余り議論を重ねたという。
こうした同学園の話が出てくるたびに、「教育機関」とはかけ離れた拝金主義的な印象を受ける。第一経済大学(現日本経済大学)の水増し入学問題も、補助金である私学助成金は必要ないとばかりに学生を受け入れ続けたとしか思えない。定員の1.3倍未満が補助金の対象だが、定員の12倍という数字は、あまりにも基準とかけ離れすぎている。
モラルを無視した経営手法で潤沢な資金を得たであろう同学園は、99年にその凄まじい資金力を背景にして、地元の老舗百貨店である岩田屋の本館と新館の購入に踏み切る。買収金額は約205億円。天神の一等地であり教育施設として本当に必要なのか、との疑問の声も上がった。たしかに学費などで集めた資金で百貨店の土地と建物を買うことは、教育機関としては、かなり違和感があるものだ。こうした行為が、同学園の拝金主義的な印象を強めていることは間違いないだろう。
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