都築学園グループの中核である学校法人・都築学園の収支が悪化していることは、個別の学校ごとの収支に表れていることは前回述べた。これは同グループのほかの学校法人である都築教育学園、都築育英学園にも言えることだ。今回はこの2つの学校法人の学校ごとの収支を見ながら検証してみよう。
<都築学園グループの3分の2の収支がマイナス>
都築教育学園の全体の収支は、帰属収入(売上高)は横這いで推移しているものの収支はマイナスの状況だ。学生生徒等納付金(以下、納付金)が23億円前後で安定しているため帰属収入も安定しているのだが、消費支出の減少からマイナス幅は縮小しているものの恒常的な赤字体質だと言える。気になるのは稼ぎ頭だった第一工業大学の納付金が右肩下がりになってきたことだろう。全体として横這いで推移しているのは、第一工業大学のマイナス分を専門学校などでカバーする格好になっているためだ。判明した7校のうち2010年3月では4校の収支がマイナスとなっており、今後、第一工業大学の落ち込みが続いていくようだと、全体としても収支がマイナスの状況に陥っていくだろう。
都築育英学園は、都築学園、都築教育学園と異なり10年の全体の収支はプラスである。10年3月分の数値しか判明していないため過去との比較はできないが、一見、唯一内容が良い学校法人にも見える。だが実態は異なっているようだ。
帰属収入77億円余りには雑収入として43億円が計上されており、77億円が恒常的な収入ではないからだ。これは本来なら帰属収入の大半を占める納付金が26億円程度しかないことからも明らかだ。納付金26億円程度に対して消費支出は49億円余りあり、雑収入43億円がなければ収支はマイナスだろう。消費支出のなかの人件費、教育研究費、管理経費の合算は約46億円あり、とても26億円の納付金では賄えない。
個別の学校の収支では、やはり日本経済大学(旧・第一経済大学)のマイナスが大きい。都築育英学園は判明した3校すべてが、10年3月の収支はマイナスである。このマイナスを雑収入43億円でひっくり返してプラスに転じているのである。
都築学園、都築教育学園、都築育英学園のグループ主要3法人では、24校のうち16校が10年の収支がマイナスであることがわかった。このことから都築学園グループ全体の3分の2の学校は、収支がマイナスの状況だと仮定できる。過去の裕福な学校法人の面影は、すでにないのである。
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