6日、九州電力(株)(本社:福岡市中央区)の眞部利應社長は同社内で記者会見を行ない、6月26日、佐賀県民向けに放映された経済産業省が主催した玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の安全対策の説明番組で、同社社員が関係各所に、玄海原子力発電所の発電再開に賛成する意見を送るようメールで要請していたと発表した。
メールを発信したのは九州電力の課長級社員で、子会社4社と九州電力の3事業所(玄海原発、川内原発、川内原子力総合事務所)の社員に送られたという。
眞部社長は「国の説明会の信頼性を損なう結果になったということで、心からお詫び申し上げます」と謝罪した。
同日、海江田万里経産業相は「言語道断の行為。極めて遺憾。九州電力社長に対し厳重注意を行なうとともに、徹底的な原因究明を行ない再発防止策と併せて報告するよう指示した」との談話を出した。
同省は、東日本大震災による福島第一原子力発電所での事故を受けて、各電気事業者に対して緊急安全対策の実施を指示し、その措置について原発が立地する地域住民および国民に説明していた。同番組は玄海原子力発電所の安全対策について佐賀県民に説明し、質問・意見に答えるために開催されたものである。
同番組は「しっかり聞きたい、玄海原発」と題して、6月26日に佐賀県民代表者7名、経済産業省(原子力安全・保安院、資源エネルギー庁)担当者4名、オブザーバーとして長崎大学大学院の放射線医療を専門とする高村昇教授が出席し、約1時間30分間、佐賀県のケーブルテレビやインターネットで生中継された。
原発の問題は、今後のエネルギー政策を左右する問題であり、原発を抱える九州電力が一般市民を装った"やらせ"意見を指示し世論を操作しようとしたことで、佐賀県民の九州電力の信頼失墜は免れない。
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