「やらせメール」、玄海原発3、4号機の耐震データ誤入力など、立て続けに問題が発生している九州電力。その原因は、同社の企業体質にあると指摘されるが、具体的にどのようなものなのか――。その実態について九電関係者は、同社組織はタテ割の傾向が極度に強く、専門分野に細分化され各個人・部署の専門性は高いものの、他部署のことについてわからない傾向が強く、全体を取りしきるリーダーが不足しているという。
たとえば、一般的には数名の担当者が出席するに足る打ち合わせでも、同社の場合は十数人の社員が出席し、担当先を確認すると社員同士で顔を見合わせてしまう場面が少なくない。取りまとめる社員がその場にいないという。
九電が経産相に報告した内容に基づいて「やらせメール」事件を振り返ってみると、原子力担当副社長と原子力発電本部長から「説明番組の周知」という口頭指示を原子力発電本部の部長が受けた。同部長は、具体的方法を特定せず、自分が受けたのと同様の内容をそのまま部下の課長級社員に口頭指示した。それを受けて課長級社員は社内外に賛成投稿要請をメールで依頼。課長級社員は上司にそのことを報告しておらず、上司も確認していない。この九電の報告内容が正しいとすれば、組織の上層部の指揮系統が非常にお粗末である。各個人が都合の良い自分の思い込みで動いているということだろう。
本当にこのような企業風土が九電にあるとすれば、舵取りするリーダーの不在で漂流する九電はどこへ向うのだろうか。松尾会長や眞部社長のこれまでの勤務実績を評価する人がいるが、この2人がすぐに辞任しない理由には、リーダー不在で崩壊する九電を憂いてのことかもしれない。
*記事へのご意見はこちら