福島原発事故から全国にひろがる原発への不安。九州では、「やらせメール」、玄海原発3、4号機の耐震データ誤入力などの不祥事で、原発を管理する九電への不信感が強まっている。そのようななか、福岡市が玄海原発の発電停止および再稼働の是非に関わる権限を認める協定を九電と結ぶための条例の成立を求める住民投票の実現へ向け、直接請求署名の活動を行なう市民団体「フクオカ住民投票の会」が設立されようとしている。
直接請求署名とは、地方自治法第74条に基づき法定署名数を集めれば市長は住民投票条例を議会にかけなければならず、可決されれば住民投票が実施されるというもの。
住民投票署名は、徳島市では吉野川可動堰に市民がNOの意思表示を行ない中止の流れをつくりだし、滋賀県のびわこ空港の直接請求では住民投票自体は議会で否決されたものの県民世論を盛り上げ中止に追い込んだという。なお、福岡市では「市立こども病院を人工島に移転する是非を市民に問うための住民投票条例案」について2008年11月、3万人を超える署名が集められたが、市議会で否決されている。
同会設立に携わる福岡市議会議員・荒木龍昇氏(無所属)は、NET-IBの取材に、「福島原発事故の被害状況を見ると、福岡市は地理的に飯館村とよく似た状況にある。玄海原発で事故が発生すれば放射能による甚大な被害を受ける福岡市民は、同原発の稼働に関して当事者であるにもかかわらず、説明や同意は求められていない。福岡市と九電との原子力協定を締結することで、福岡市民が当事者であることを実体化できる」と語った。
8月上旬に設立予定の同会は、現在、署名を集める受任者を募集している。受任者は福岡市の有権者でなければならず、署名は受任者の区内に限られる。9月に署名開始のための証明書の交付申請を予定しており、証明書の交付後、署名収集を開始。収集した署名簿は各区選管に提出し、法定署名数があるか集計し効力が決定される。その後、署名の縦覧、異議の申出、本請求、議会召集と付議、議会開催と条例案採決、可決されれば住民投票実施という流れとなる。
署名は1カ月以内の期限が定められており、福岡市の有権者の50分の1(約2.5万人以上)の署名が必要とされるため、受任者を1,500から2,000人集める計画。なお、同会は「こども病院人工島移転の是非」についても同時に住民投票の直接請求署名を集めるという。
<お問い合せ>
福岡市議会議員・荒木龍昇氏
TEL:090-3602-3842
【吉澤 英朗】
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