きのう(3日)、会社更生手続き中の林原グループ(岡山市)のスポンサーに長瀬産業(株)が決定した。バイオ・ライフサイエンスを重点分野とする長瀬産業の思惑と、国内市場を独占した天然甘味料「トレハロース」など多くの食品・香粧品・医薬品素材を持つ林原の事業領域が一致した格好だ。
今後、林原3社((株)林原、(株)林原商事、(株)林原生物化学研究所)は合併し、長瀬産業は合併後の存続会社に700億円拠出し、再建支援に充てる。
長瀬産業は、創業者・長瀬伝兵衛が京都・西陣で、1832(天保3)年に染料・澱粉などを取り扱う「鱗形屋」を開いたのが始まり。1898(明治31)年に大阪へ本社を移し、大正6年に取扱商品の類別によって染料部、薬品部、機械部、雑貨部の各部門が設けられ、これまでの輸出部、輸入部を加えて新たに本部が設置された。以後は化成品卸業を中心に展開し、現在では化学品、合成樹脂、電子材料、化粧品、健康食品などの輸出・輸入および国内販売を幅広く手がけている。
2011年3月期(連結)の売上高は6,602億1,300万円、経常利益は206億2,500万円で、財務内容も有利子負債266億9,300万円、純資産2,093億1,700万円と安定している。
今回の順当なスポンサー決定はおおむね岡山経済界でも歓迎的のようで、ハウステンボスのスポンサーがHISに決まったときの九州経済界のような印象を受ける。研究開発で生み出されたものの「海外市場の攻略が課題」と言われたトレハロースなど多くの優れた林原の製品が、長瀬産業の幅広い販路に乗って海外市場に打って出るという効果も期待される。
【大根田 康介】
▼関連リンク
バイオの寵児「林原」がのめり込んだ不動産事業(上)
【現地取材】林原の会社更生法で揺れる岡山の今(1)
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら