Jリーグ各クラブの10年度の経営情報が明らかになった。昨季のアビスパ福岡の選手とチームスタッフの人件費はJ2の19チーム中で7位の4億100万円。これはJ1全18チームと今期昇格した3チームの中で最も少ない。昨季圧倒的な強さでJ2を制した柏は14億8,500万円で実に4倍以上の突出した数字となっている。柏に匹敵する資金を有しているのが千葉で13億4,900万円。それでもリーグ戦では福岡の後塵を拝し(4位)昇格できなかった。福岡同様、効率よく人件費を活用し昇格した甲府は4億7,300万円にとどめた。それでも福岡を7,000万円上まわる。福岡は連続赤字を食い止め黒字回復するなかで3位に食い込んだ。費用対効果では群を抜いている。
過去の例では09年昇格組は1位の仙台が7億1,100万円。2位のセレッソ大阪が10億8,500万円。3位の湘南で6億1,800万円。08年でも1位は広島が12億900億円。2位の山形が3億9,200万円。3位の札幌が6億600万円。過去3期で山形のみ福岡に匹敵する効率で昇格を果たしている。
10年の降格組をみるとF東京が13億7,000万円。京都が13億800万円。これらは効率が悪いとの批判はまぬがれないが、最下位に沈んだ湘南でも昨年の福岡と比べ2億円以上多い金額を投じたにもかからず、J1では34戦してわずかに3勝。獲得した勝ち点は16でまったく歯が立たなかった。09年のJ1下位は16位柏15億8,000万円。17位大分13億4,500万円。18位千葉15億5,200万円。13億円以上でも残留できなかった。08年は16位磐田16億5,700万円(入れ替え戦で残留)。17位東京V26億2,200万円。18位札幌7億8,700万円。
過去3年間では昨年の山形7億8,700万円が最も少ない人件費で残留を遂げたことになる。それでも昇格後に大幅な増額を余儀なくされている。
過去3期から読み取れるのは「効率よく使えばJ2からの昇格は可能だが、J1残留争いにはより多額の人件費を要する。」ということになる。それでも残留できないことが頻繁にある。福岡の今期の人件費はまだ明らかにされていないが、昨季から大幅な上積みがあったとは考えにくい。いろいろな声があがる今の成績について「よくやっている方」(サポーター)と指摘するのはそうした背景を知る人達だ。
【鹿島 譲二】
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