<ショッピングセンターとチェーンストアの歴史>
ここで、ショッピングセンターとチェーンストアの歴史について振り返ってみよう。
ショッピングセンターとは、明確なコンセプトのもとに開発・設計された商業集積であり、マネジメントするひとつの機関のもとで一体となって運営されている集合体をいう。すなわち、自然発生的に形成された商店街や市場は、ショッピングセンターではない。
ショッピングセンターの発祥は1920年代のアメリカにさかのぼる。
当時、アメリカではT型フォードが、世界で初めてベルトコンベアで大量生産され、モータリゼーションが広まりつつあった(実は、フォードのベルトコンベアによる生産システムは、シアーズの通販商品の小包の仕分用のコンベアから着想されたものであった)。
駐車場を備えたショッピングセンターは、20年代に初めて現れ、戦後の40年代後半から急増していく。50年代には、アメリカでのマイカーの世帯普及率が70%を越し、大半の市民が郊外でクルマの生活をするようになった。同時に昔ながらの都心部の商店街は衰退し、代わって郊外の主要道路沿いの至るところにショッピングセンターがみられるようになった。
我が国では、アメリカに遅れること約40年、戦後の高度成長とともに60年代の後半より一般大衆に自家用車が普及し始め、これに連動する形で70年前後にダイエーなどスーパー系のショッピングセンターが開設されている。
その後、80年代末に、我が国でも自家用車の普及率が70%を突破。90年代後半には大店法の運用も緩和され、これらの動きを反映する形でイオンをはじめと流通系や不動産デベロッパーの手で全国にショッピングセンターが現れた。
【石川 健一】
<プロフィール>
石川 健一 (いしかわ けんいち)
東京出身、1967年生まれ。有名私大経済学卒。大卒後、大手スーパーに入社し、福岡の関連法人にてレジャー関連企業の立ち上げに携わる。その後、上場不動産会社に転職し、経営企画室長から管理担当常務まで務めるがリーマンショックの余波を受け民事再生に直面。倒産処理を終えた今は、前オーナー経営者が新たに設立した不動産会社で再チャレンジに取り組みつつ、原稿執筆活動を行なう。職業上の得意分野は経営計画、組織マネジメント、広報・IR、事業立ち上げ。執筆面での関心分野は、企業再生、組織マネジメント、流通・サービス業、航空・鉄道、近代戦史。
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら