破産手続申請の準備に入った庄屋(本社:福岡市東区)は福岡県下のスーパー6店舗にテナントとして入居する一方、自ら焼き肉店など飲食店6店舗の経営をしていた。今回の破綻を受けて業界関係者は「精肉業界の苦境を象徴する倒産」と、指摘する。精肉店は時代の変遷とともに対面販売からスーパーのテナントに変貌することで生き延びてきた。スーパーが活況な時はその成長に合わせて躍進を遂げた。ところが、市場が成熟した現在は、「一部のディスカウント勢を除くと新規出店がめっきり減ってしまった。一方で、スーパーはテナントから直営化を図るところが増えてきている。まれに新店への入店話があっても経済環境を反映して厳しい条件を突きつけられる」(同関係者)という。
今日隆盛を誇る精肉業者のなかにはスーパー経営に乗り出して成功した企業が複数あるが、流通業界関係者は「それらのように業態変更や新市場の開拓なしには生き残れない時代に入って来た」という。庄屋自身も焼き肉店「花まん」など6店舗の運営を行なっていたが、群雄割拠するなかで圧倒的な支持を受けられなかった。ひと言で多角化と言っても実を獲るまでには相応の労力を要する。それでも生き残るには環境に合わせた変化を求められていることから、なかにはまったく異なる業種への参入を検討している業者もある。
卸・小売合わせて有力企業が多く残る精肉業界は生き残りへ向けて新しい時代に入った。
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