9月に入り、秋の味覚を楽しみにしている方々も多いのではないだろうか。コメをはじめとする豊かな食材の宝庫である東北地方の生産者および、かかる業者にとっては1年の内で最も忙しい時期となる。だが、今年は不安だらけの秋となりそうだ。
本州一のサンマの水揚げを誇る女川漁港(宮城県)は漁港に面した加工施設や冷凍庫が震災で全壊した。そのうえ、福島第一原発事故がおよぼす消費者心理への影響も懸念事項となっている。
コメ生産者も同様だ。宮城県のコメどころ登米(とめ)市では、今年に限っては震災の影響で、通常より1カ月遅れとなる6月に田植えをした。現在のところ順調に成長しており、秋の稲刈りは期待ができる。しかし、風評被害の影響を心配する声があがっており、販売は鈍化する可能性は低くはない。ある生産者は、「われわれは品質の高いコメをつくるだけです」と、自分が作るコメには自信を持っているものの、「何らかの理由で出荷停止措置がとられたらどうしようか...」と、苦悩を語る。
被災地生産者の想いと消費者の想いに深い溝ができないよう、情報公開の徹底が切に望まれるところだ。
【新田 祐介】
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