5日、仙台市は、筑波大学および東北大学と共同で生活排水を浄化しながら石油成分を生み出す藻を使用した実証実験を行なうことを明らかにした。東日本大震災で多大な被害を受けたのは家屋などの建物だけではなく、下水道も同じように被害を受けている。この下水処理施設に集まった下水のなかの有機物を餌とする藻を活用するのだ。
「オーランチオキトリウム」―しばしばメディアで取り上げられるこの言葉は「石油を作る藻」として耳にした方も多いのかもしれない。この藻は石油系の炭化水素を作るもので筑波大学大学院の渡辺信教授らが発見したものであり、各方面からオーランチオキトリウムの開発を促す声があがっている。
今回、渡辺教授は奥山恵美子仙台市長を訪ね、仙台市宮城野区の南蒲生浄化センターを活用した実証プラントを設置したい意向を明らかにし、これに奥山市長も協力する考えを示した。
オーランチオキトリウムへの期待は高いが、現状では未知数であることは否めない。しかし、東京電力・福島第一原発事故の影響で、我が国のエネルギー政策の根幹が揺らいでいる現状を見るに、こうした研究者の活動に、さらに光を当てていくことが必要であることは間違いない。また、今後もエネルギー需要が見込まれるなか、エネルギーに関する技術開発は他国に先駆けて行なわれる必要がある。
かつて「2番じゃだめなのか」と言った御仁に伝えたい。新エネルギー復興の原動力にするためには、科学技術開発は1番でないとだめなのである。
【新田 祐介】
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