10月20日(木)に行なわれる特別講演会「古賀茂明氏が語る日本再創造~許すな!官僚独裁体制国家~」に対し、福岡県のみならず全国各地から予想を超えた聴講申込が相次いでいる。そこで同講演会実行委員をはじめとする福岡の有識者に、「なぜ今、古賀氏の講演が求められているのか?」についての意見を求めた。
今回は、東京で8月に古賀氏と面談し、意気投合したという地域主権型道州制国民協議会福岡支部長の石橋一海氏((株)エヌ・ビー・エス代表取締役)。「日本を立て直すためには、混乱・停滞を覚悟で道州制を断行すべし!」との持論がある石橋氏は、古賀氏をどう見ているのか――。
<古賀茂明氏は平成の高杉新作>
まず、最初に会った時の印象ですが、エリート官僚でトップクラスを走っていた人というから、威圧感のある人かと思っていましたら、ずい分と柔和な人で驚きました。内に秘めた闘志というか、相当な精神力がないと現役官僚の立場で、ああは物が言えません。24時間監視され、引きずり下ろそうという官僚連中から色んな圧力をかけられているなか、それをサラリとかわす。古賀さんの度胸は、幕末の高杉晋作に匹敵するのではないでしょうか。国を変えようという熱い想いを持つ信念の人、まさに『平成の高杉晋作』です。
戦後、日本国民が勤勉に働いたおかげで経済的に世界のトップにのぼりつめ、復興を成し遂げたという意見もあります。しかし私は、日本の官僚が、そこに道筋をつけてきたからだとも考えています。ある意味、官僚が日本の繁栄を引っ張ってきてくれたのです。しかし今は、古賀さんの著作にもある通り、その繁栄を官僚が壊してしまおうとしている。日本の繁栄を壊すのは官僚と、そして官僚を使いこなせない『不勉強な政治家』たちです。
実際に会って話をした時、さまざまなところで、私は「古賀さんは頭が切れる」と思いました。そのひとつは、年金制度は破綻しているから、私たちが75歳まで働ける仕組みを作り、将来的に対応できない年金を、働けない人に失業保険を給付するような制度に切り替えるべきという考えをもっていたことです。
今回の特別講演会では、エリート中のエリートである『キャリア官僚』が批判されるのはなぜか、ということを知ってほしいと思います。自分が所属している省の利益、すなわち『省益』になるようなことをすればほめられる。本来追い求めるべき国の利益、『国益』のためになるような、たとえば天下り先を減らすようなことをすれば、(上司に)「さみしいな...」と言われるそうです。
古賀さんによれば、官僚の制度は、上にいくほどそういう体質になってしまう。上にいくほど、上司が部下を叱るようなことはしない。たとえば、ある提案に対して「さみしいなあ、君の考えは...」という言い方をする。その場で叱りつけるようなことはしません。一方で、いいこと(省益)、たとえば天下り先を作ったりすれば、「いやあ、おめでとう!」と、言われる。それが官僚の世界だそうです。
私は言いました。「古賀さん!志のある官僚仲間とともに脱藩して、政党を作ったらどうですか? 50人いてもみんな選挙に当選しますよ」と。しかし、古賀さんは「そんな(50人)にいません」。今回の講演で、そのような官僚の裏側を教えてもらい、じゃあどうすべきか、日本がしっかりするためには政治家がどういう風に官僚を使えばいいか、ということを知り、一人ひとりに考えてほしいと思います。
【文:山下 康太】
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