8日、九州電力の「やらせメール」問題を調査する第三者委員会(郷原信郎委員長)は、古川佐賀県知事との会談内容が書かれた『九電メモ』について、「ほぼ正確」であると公表した。同メモは、大坪潔晴佐賀支店長(当時、現在は佐賀支社長)が作成。その内容には、6月26日に放映された経済産業省が主催した玄海原発の安全対策などの説明番組について、古川知事が「やらせ」を指示したと思われる箇所が含まれていた。
あの説明はなんだったのか――。
8月23日、佐賀県議会・原子力安全対策等特別委員会は、古川知事と6月21日に会談した九電幹部3名を参考人招致。メモの作成者である大坪氏が、「個人的な想いが入ってしまった」「記憶違い」「聞き誤り」などと、古川知事の「ニュアンスが違う」との主張にほとんど追従するかたちで説明していた。
第三者委員会によると『九電メモ』の内容は、会談中に古川知事の発言を記録した手帳とほぼ一致したという。しかし、大坪氏は佐賀県議会において「懇談内容はほとんど書きとめもしていない」「記憶に基づいて作成したもの」と説明しており、同内容はまったくのウソであったと思われる。以下、8月26日に掲載した記事「『備忘録』 佐賀県議会 九電騒動始末記(2)~メモ流出は『想定外』」より大坪氏の説明を引用する。
一体、どのような経緯があって、大坪氏は公式の場で"ウソ"をついたのか。もっとも今度は、会談中に記録する段階で「原発再開への想いが入ってしまった」との説明が行なわれるかもしれないが...。
2転3転する『九電メモ』の問題は、佐賀県政と九電(原発マネー)の『切るに切れないしがらみ』の象徴でもあるかのように思える。
【山下 康太】
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