8日に行なわれた新司法試験の合格者発表。新制度へ移行後6回目となる今回の合格者数は2,063人、合格率にして23.5%となった。合格率では5年連続の低下、合格者数は昨年を11人下回ったことになる。
司法制度改革の一環として法科大学院制度を導入し、政府が「合格者3000人」を掲げたのが02年のこと。市民に身近な司法を目指して法曹人口を育成する目的で、当初は法科大学院修了者の7割程度が合格する制度設計であった。しかし、以降も合格者数は伸びず、実質的には旧司法試験時代末期(新試験との併存期間)とほぼ同数の合格者数で推移している。建前の上では「合格レベルに達する者が2,000人弱しかいなかった」ということになろうが、実態は暗黙のうちに設定された定員に沿った事実上の「足切り試験」の状態が恒常化している。
背景には、「法科大学院の教育システムが充実しておらず、質の高い法曹を養成できていない」という理由があるとされるが、これも建前上の話。実際には、当初見込んでいたほどには市場規模の拡大が進まず、既存の弁護士すらも仕事にあぶれかねない状況が横たわる。危機感を募らせた彼らは、昨年行われた日弁連会長選挙で合格者数抑制方針を柱の一つに掲げた宇都宮健児弁護士を選出している。規制緩和のご時世下、身内の理論で新規参入(合格者)を阻む業界の姿勢には多くの批判が寄せられた。
【田口 芳州】
主要大学の合格者数は以下の通り。
法科大学院別・合格者数上位校
【全国】
東 京 210
中 央 176
京 都 172
慶 応 164
早稲田 138
【九州地区】
九 州 42
琉 球 7
西 南 6
熊 本 4
久留米 4
鹿児島 3
福 岡 3
【福岡市試験会場の合格者・おめでとう!】
合格者番号(法務省HPより)
※個人名が掲載されているサイトはこちら(中国新聞HP)
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