総合的な冠婚葬祭ビジネスを展開している(株)ラック。逆風下の業界にありながら、毎年着実に成長を続けているその強さの秘訣は何か。先日発行されたばかりの同社代表・柴山文夫氏の著書『ストーリーで語る 強い会社の創り方』の内容を踏まえて、同社の事業戦略を探る。
<若い力が支える強い現場力>
(株)ラックは、現代表である柴山文夫氏が1967年12月に、(株)西日本ウェディングセンターとして設立したのが始まり。その後、(株)西日本互助センターへと商号変更を行ない、84年4月に(株)博愛互助センターを合併した後に現商号へと変更している。
同社は、結婚式場、貸衣裳店、葬儀斎場、葬儀店、美容店などのいわゆる冠婚葬祭ビジネスを展開。少子高齢化や少婚多死、さらには葬儀規模の縮小など業界に対する逆風が吹くなか、売上高を毎年増加させていくなど順調な業績を残している。なかでも、結婚式場「RITZ5(リッツファイブ)」は3つの披露宴会場を持ち、1披露宴会場当たりの年間挙式施行組数が200組以上と、稼働率では日本一を誇っているほど。なお、同社の売上構成比は、冠婚部門50%、葬儀部門50%となっている。
同社の強さの要因は、高いレベルの「現場力」にある。柴山社長の著書によると、同社の現場力は次の3つの条件――(1)「決められた日常業務をきちんとこなし、かつ、現場で発生するさまざまな問題を当事者として解決すること」、(2)「現場の業務に携わるすべての人間が『現場力』の重要性を理解していること」、(3)「現場を高めようとする高い志、目標設定を有していること」がそろったものとしている。そして、この現場力を担っているのが、同社の場合は若手社員となっている。
同社従業員の平均年齢は29歳で、男女比率は3対7で女性が多い。同社ではその女性たちが3~5年で寿退社していく一方で、新卒社員を毎年入れているため、絶えず組織が若返るような循環ができあがっている。
もちろん、新卒を現場の主戦力にしていくためには教育が欠かせないが、同社の場合は若手社員を鍛え上げる環境が整っている。たとえば、17年前から柴山社長自ら毎月行なっている「若手社員コーチング」や、外部の方も招いて年1回行なわれる「若手社員コーチング大会」、ほかに、社長の気持ちを社員に伝えるためのツールである社内報の発行などもある。
同社が若手社員の教育に力を入れているのは、まず会社の"志"を社長と社員で共有し、1つの方向に向かわせていくという狙いがある。そしてもう1つ、社員のヤル気をマネジメントするという狙いもある。若手社員を鍛え上げ、その若い力を中心に現場で仕事に取り組んできた結果が、今日の同社をかたちづくっている。
【坂田 憲治】
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(株)ラック
[COMPANY INFORMATION]
(株)ラック
代 表:柴山 文夫
所在地:福岡市博多区東比恵3-14-25
設 立:1967年12月
資本金:6,575万円
売上高:(11/3)約51億5,500万円
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