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新司法試験 合格予定者数3,000人は夢まぼろし(後)
特別取材
2011年9月13日 07:00

 合格者数が増えない現状は、法科大学院の経営にも影響をおよぼしてくる。合格者を排出できなければ学生が集まらないため、運営費の捻出にも事欠いてしまう。独立行政法人に移行した地方国立大では、従来のような丼勘定のコスト意識はすでに皆無で、数年前から幾つかの地方国立大学系の法科大学院に廃止・統合話が持ち上がっている。

 先ごろ話題となった検察官の事件ねつ造も根っこは共通する。要は「質の高い法曹を養成」するという美辞麗句の下で新規参入を制限してきた「業界の閉鎖性」が根幹にあるのだ。たしかに、かつての合格者500人時代からは隔世の感があり、一般人の司法参加についても裁判員制度の導入などで改善が図られつつあるが、現状での位置付けは所詮「刺身のツマ」程度。専門性の高さがネックとなり、「開かれた司法」への道のりは未だ遠く険しい。

市場規模の拡大 では、市場規模の拡大を進めるにはどのようにすべきか。これには「開かれた司法」を推し進めていくほかあるまい。大幅な経済成長が望めない昨今の経済情勢下、従来のやり方では新たな需要など生まれるはずがない。縮小化するパイの分捕り合戦に需要を見出そうにも、そもそも敷居が高ければ司法制度の活用が選択肢に挙がることは少ない。まずは司法制度を利用しやすい環境をつくることである。法曹と一般人との交流が密になれば、そこで得られた情報を元に新たな需要を創出できる。

 「事件を探すような行為は慎みなさい」と若手に諭すベテランの弁護士の言葉は気高さに溢れているが、新たな需要の創出は眠っている事件を掘り起こすことに他ならない。若手弁護士らがよく用いる「敷居の低い法律事務所」というキャッチフレーズには、その点に対する問題意識と自分なりの対処方法が如実に現れているように感じられる。もちろん、専門性を極限にまで高めて高付加価値路線を歩むやり方もあるが、新たなコンサルティング需要を掘り起こすという意味では共通のもの。総じて、一般市民が気軽に司法を活用できる制度設計と、その接点となる弁護士らの意識改革が求められている。

(了)

【田口 芳州】

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