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青木道生の企業経営戦略講座1-2 : 銀行の失われたコンサルティング機能 ~毎週水曜更新~
企業経営戦略講座
2011年9月14日 07:00
青木氏の実績と評価は非常に高く、多くの支持を集めている。 支援結果はこちら→
profile.jpg entry_title_vol.1.jpg 本来的には「リレーションシップバンキング」、つまりは「金融機関が顧客との間で親密な関係を長く維持することにより、顧客に関する情報を蓄積し、この情報を基に貸出などの金融サービスの提供を行なうことで展開するビジネスモデル」を達成させるための努力義務は、銀行サイドにある。中小企業サイドに求められるべきものではないが、「リレーションシップバンキング」は地域金融における理想的な考え方であり、実現されないより、実現されたほうが、銀行・企業の双方にとって、メリットが大きい。

 ここでの考え方は、銀行という大企業の仕組みや考え方を変えるより、金の借り手である中小企業が、銀行の担当者レベルに対してその対応や考え方を変化させた方が、実務的には、より容易に「リレーションシップバンキングの達成」に近づけるのではないか、というアプローチに基づいている。
銀行との信頼構築はこちら

 そもそも金融危機以降、資金繰りの逼迫した企業が増加し、借入金の元本返済を一時的に猶予するといった「金融円滑化法」(通称)は、「リレーションシップバンキング」が十分に機能しているという前提に立っている。返済猶予期間中に、銀行のコンサルティング機能を十分に発揮し、猶予期間中に返済能力を高め、「将来の健全な資金需要」に対応するためのものである。

 一方で、銀行の「コンサルティング能力の発揮」は、融資量が数十億円以上に達し、銀行としても政策的に潰すに潰せない企業に対してのみ、発揮されることが一般的である。金融危機以降、大企業も当然ではあるが、本来的に資金繰り破綻の危機に直面しているのは、地場の年商数千万円から数億円規模の、商店街の店主や工務店などの、中小零細企業である。これら中小零細企業に対する融資のほとんどが「信用保証協会」の保証付き融資であり、その融資先が経営破綻に陥っても、銀行として直接的なロスは限定的である。つまり、支店の担当者や優秀な上席、本部の国家資格などを有した人材が、それら中小零細企業の経営再建のために時間を割くこと自体が、コスト的に割に合わないのである。

 これらの銀行の内部的な事情に加え、膨大な量の融資ノルマや役務収益(手数料収入)ノルマ、クレジットカードなどの獲得ノルマなどに追われ、日常業務に忙殺される銀行員にとって、信用保証協会の保証付き融資先を「救う」ことよりも、より経済合理性の高い収益業務に傾注することにより、中小零細企業に対する「コンサルティング能力の発揮」は失われ、「リレーションシップバンキング」の実現は、遠ざかってしまっている。
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 この憂慮すべき環境の是正のため、中小零細企業の経営者はいま、何をすべきなのか。また、銀行に対して自助努力として、何ができるのか。「リレーションシップバンキング」の定義である「金融機関が顧客との間で親密な関係を長く維持する」とは、具体的にどのようなプロセスを経て実現できるのか。  次回連載(毎週水曜日)より、踏み込んだ具体論に言及していく。 blog_banner.jpg blog_banner.jpg


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