須崎ふ頭内の地権者や業者は再開発に対してどのような考えを持っており、また、市長や福岡市に対してどんな要望があるのだろうか。現場の声を拾った。
<電機業者>
「なにか道路工事などやっているなとしか思いませんでしたが、今回の市有地売却と製粉企業の進出は今、初めて聞きました。数年前、話題にのぼったオリンピック誘致における選手村の構想案件から(須崎ふ頭再開発の話は)大きな話題が何もありませんでしたから、今の話のようにふ頭が活気づくことは良いことでしょう。もちろん、私たちとしては再開発について、市から具体的な要望や説明があれば、話を聞く準備がありますが、再開発自体を行うのか否かまったくわかりません」
<飲食業者>
「再開発自体が無理だと思う。過去オリンピックの選手村の話があったものの、あわよくば東京との誘致合戦に勝って、数年後のオリンピックに決定する話が前提で、なおかつ、国から予算を貰ったうえでの構想だったわけで夢物語に終わってしまった。政策の不適切が問題だったと感じるからね。
現状を踏まえてみると、莫大な資金を必要とする再開発には市が単独でできるわけがない。だから、いまだに再開発の話は出てこないと思う。テコ入れできるような案件はいまのところないからね。また、あまり期待もしていない」
<小型スーパー業者>
「港湾局より企業誘致に関する一連の説明はありました。道路を用地に変えるために工事の一部を順次始めるということです。今のところ営業について大きな問題はありませんし(市に対して)要望は特にありません」
<倉庫管理業者>
「どの市長に何を言っても無駄だと思うね。とくに高島市長についてはアイランドシティ問題で頭がいっぱいだろうし、あらためて掘り返す、須崎ふ頭再開発についての考えはまったくないだろう。それと政治的手腕をそんなに期待してない。
彼が当選した要因は、自民党との思惑が一致したことや、フレッシュで活きが良い、前職はアナウンサーで知名度が高いことに加えて、前市長があまりにも人気がなかったことなどたくさんある。しかし、実績はなく、昔の政治家に見られたカリスマ性が感じられないから、彼には須崎ふ頭の再開発は厳しいだろう。
日清製粉の進出の話は初めて聞いた。市有地売却するのはいいけれど、もっと詳しく情報公開をしてほしい」
当時「2016年夏季オリンピック誘致」で再開発のキッカケになるのではと期待していたという声も多く、それだけに以後浮上してこなかった再開発話への期待感は低い。天神北に隣接し、都市高速のインターを有していることから、大型開発が可能な商業用地である須崎ふ頭。地権者や業者の声は福岡市に届くのか――。
【道山 憲一】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら