9月1日、福岡市の大型複合施設「天神プレイス」売買の舞台裏で、2008年12月から繰り広げられていた裁判にひとつの判決が出た。
この裁判では、原告のアークエステート(株)(本社:福岡市博多区、山本博久代表)が、被告の大成建設(株)と(株)アームレポの2社に対し「天神プレイス売買において、やずやと被告との仲を取り持ったのは原告であり、それに対する報酬6,300万円が支払われてないのはおかしい」と、主張していた。
裁判のポイントは、アークエステート(原告)、大成建設・アームレポ(被告)、やずや(購入者)の3者間の取引が一体のものであったかどうか、である。
今年(11年)1月に第一審判決で福岡地裁は、これらを別個の取引として捉え、やずやが購入に至ったこととアークエステートが仲介したことの因果関係を認めず、原告の主張を退けた。
ところが今回の控訴審判決で福岡高裁は、「控訴人(アークエステート)の媒介行為と天神プレイスのやずやHDへの売却との間には相当因果関係があるといわざるを得ない。したがって被控訴人アームレポは、控訴人に対して約定の6,300万円の報酬を支払う義務を負う」(判決文より。カッコ内は筆者注)と、基本的に原告の主張を認めた。
実際の支払い額は、売買仲介報酬6,300万円およびこれに対する09年10月21日から支払済みまで年6分の割合による金額(実際の支払い支払い金額は7,000万円内外)。
ただし、大成建設に関しては、「被控訴人アームレポから控訴人(アークエステート)に対して報酬が支払われないようにする意図を有していたと認めるに足りる証拠はなく...(中略)...不法行為責任を負わないというべきである」(判決文より。カッコ内は筆者注)として、大成建設に対する控訴は棄却している。
被告アームレポ側は即刻、最高裁への上告の準備手続きに入った。しかし、原告側は仮差し押さえの動きの意向のようである。
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