3月11日の東日本大震災の津波による福島第一原発事故後、中国電力の上関原発準備工事が中断しているなか、山口県上関町の町長選挙がきょう(20日)に告示される。25日(日)午前7時から午後6時まで町内11カ所で投票。同8時から即日開票され新町長が選出される。
原発推進派で3期目を目指す現職の柏原重海氏(62)<無所属>と反対派で元上関町議の新人で「原発を建てさせない祝島島民の会」代表の山戸貞夫氏(61)<無所属>が出馬を表明しており、この2人による事実上の一騎打ちになると見られている。
1982年6月に上関原発建設計画が浮上。翌年(83年)の4月、上関町長選挙で推進派の片山秀行氏が当選して以来、推進、反対派の対決は9度目。これまで推進派がいずれも勝利している。
上関町の本年度の一般会計予算額約45億円のうち町税収入は約2億4,000万円。これまで町に入った原発関連交付金は約45億円で、中電からの寄付金も過去4年間で24億円。
原発に依存する財政基盤は脆弱で、国が原発の新規立地計画を凍結することになれば、交付金で建設した施設の負担が重く、財政再建団体への転落が現実のものになる。
福島原発事故による深刻な放射能汚染や九州電力の「やらせメール事件」の発覚など原発を取り巻く環境は一変。原発の新規立地に関し、野田佳彦首相も「現実的に困難」と発言しており、町民に新規立地の是非を問うだけでなく、停止中の原発再稼働にも影響を与えかねない初の首長選の行方に全国の注目が集まっている。
なお、9月2日現在の有権者数は3,239人(男1,474人:女1,765人)
【北山 譲】
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