今回の会合における参加者の多くは、福岡市が東京や大阪ほど、アジアから注目されていないことや、名前が知られていないことに対して、不満を抱いているようだ。
福岡都心部の商店街で、アジアの観光客に対して何か対策を打っているかという調査では、「対策を打っている」と答えた店舗は2割弱という結果が出たという。「対策を打っている」と答えた店舗も、ギンレンカードが使えるという程度の対策しか打っていないようだ。昨年(2010年)、約80隻のクルーズ船が福岡市を訪れたが、博多港自体がコンテナの目の前で観光客を迎えるというおろそかな対応を取っていることに、「おもてなし」を重視する日本人文化が感じられないとの意見もあり、会合では、「アジアのゲートウェイ」を標榜する福岡市の名ばかりの対策に、手厳しい意見が相次いだ。
また、動いているのは『七社会』に絡む人ばかりで、いつも同じ人が同じようなことをやっていて、新しい芽が育っていないという意見もあった。福岡に住む若い起業家たちは、若い人たちを育てる環境が整っていないと感じているようだ。
政令指定都市のなかでは、人口規模で6番目となった福岡市。ただ、どの分野でも突き出た分野がないのがさびしいと思っている市民は少なくない。途中で会合にかけつけた高島宗一郎市長は、すべての分野にまんべんなく予算をつけていては、すべてが6番手になってしまうので、何か突出した分野を作りたいと語り、会場を沸かせた。
今回の会合では、福岡は「中途半端」ながらも、ポテンシャルがあり、良くも悪くも「入り込む余地=伸びシロ」がたくさんあることで、市民がそれぞれ「福岡の未完成な部分」に何かを期待しているように感じられた。福岡都市成長戦略プロジェクトのメンバーは、「一般市民から多くの意見をいただけたことが次につながっていく。第2回、第3回と続けて、福岡を夢や希望を持てる街に、世界に誇れる街にしていきたい」と、語った。
【杉本 尚丈】
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