高島宗一郎市長のもと、『アジアのリーダー都市』を目指す福岡市。当然ながら、国際都市を目指す以上、他アジア都市の動向も踏まえたうえで、福岡市のまちづくりのビジョンを考えていかなければならない。
<再開発進む瀋陽、近郊に200km2の新都市計画>
23日、中国・遼寧省および瀋陽市の政府は、日本、韓国、タイ、シンガポール、北朝鮮などアジア各国の企業、研究者を対象として招待し、現在開発が進められている泗水科技城(Sishui Technology Town)の見学を実施した。
泗水科技城は、豊かな自然と学術研究が集積された新しいまちづくりを目指す瀋陽棋盤山国債風景旅遊開発区の一画であり、面積は30k㎡とされている。現在は、眼科の医療研究施設ほか、建物が点在している状況であるが、すでに整地はなされており、所々で建設が始まっている。
遼寧省瀋陽市は、中国東北地方の中核都市として位置付けられている。福岡市から空路で約2時間の場所に位置し、人口は約500万人。近年では、瀋陽北駅周辺を金融特区とし、金融機関の集積が図られた。今なお瀋陽市では、中心部の再開発や近郊における高層建築物の建設ラッシュが続いており、地下鉄の建設も行なわれている。
今回、開発区となる棋盤山地区は、瀋陽市の中心から北東へ約17kmの位置。同地区には海外から企業や研究機関を誘致し、国際都市として発展させる計画だ。同計画が成功すれば、瀋陽市のさらなる発展と併せて、中国東北部に環境やバイオの技術、そして金融、商業が集積された巨大都市が出現することになる。
配付された公式資料によると、新たな開発区となった棋盤山地区は総面積203km2。同地区は、その自然を活かした観光・レジャー地区(107km2)、文教地区(23km2)、エコ住宅地区(43km2)、そして泗水科技城を含む健康医療地区(30km2)の4つに分かれる。
泗水科技城の産業開発計画は、学術調査およびイノベーション、バイオメディカル、医療施設という3つの帯が交錯するように進められ、高速道路ともつながっている。瀋陽市には桃仙国際空港があり、海外から医療観光を目的とする多くの外国人を招き入れることもねらいのひとつだ。
遼寧省政府は、森林公園や湖、スキー場などがある自然に恵まれた、人口密度は1km2あたり267人の棋盤山地区に福岡市の総面積(約340km2)の3分の2にあたる広さの新しい街を作ろうとしている。中国の関係者は取材に対し、「認められた研究に対しての支援は行なうものの、中国に海外の企業が高い関心を持っている今、昔のようにインセンティブ政策を行なう必要はない」と、自信を見せていた。
【山下 康太】
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